河野道代詩集『調和の幻想』予告

2023年春刊行予定

ロゴスがもたらす理性の歓びとエロスが生む感性の慄き。この二つの深甚なる生の充実を、論理と官能を綯い合わせる詩的言語によって、同一の次元に表すこと。それが、詩を多元的に感得する豊かな行為となる──『調和の幻想』は、この究極の調和の実現へ向けた挑戦的な試みである。

それは、永く著者の言語活動の光たりえてきた、幾人かの偉大な詩的精神への、形而上学的な恋愛詩のかたちを取るスリリングな献げ物となった。困難に満ちた彼らの生の深みに、みずからの生を映し重ねる試みは、さまざまに分光する15の詩篇へと結晶する。