この詩集を読むに際して、少なくとも三つの楽しみ方があります。
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詩の言葉だけで独立した世界を味わう。これは基本的で、かつ最終的な読み方でしょう。
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哲学や古典などから引用された言葉が、異なる位相に置き直されている面白さ(デペイズマン)を味わう。詩ならではの言葉の富の蓄えが楽しめます。詩人によって味読されたさまざまな章句が姿を変えて潜んでいて、作品に奥行を与えているのです。
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「泳ぐ犬」「Daisy」など、対象として取り組まれた若林奮の造形作品の世界と照らし合わせながら読む。詩を広々とした空間の中でも鑑賞することになります。たんなるオマージュにとどまらない、詩人の自由自在な解釈と戯れを味わうことにもなります。